「平成31年度税制改正の大綱」が発表されていますが、今回はその中の資産課税
分野である「個人事業主の事業用資産にかかる贈与税と相続税の納税猶予制度」の創設について、その主な内容を確認していきたいと思います。
個人事業主については、数は減りつつあるものの「平成26年経済センサス-基礎調査」
によると325万者、従業員数1127万人というデータがあり、日本の産業の屋台骨となり日本経済を支えております。
折角培われた技術や匠の技を、次世代に事業を承継していく為に、この制度の活用をご検討してみては如何でしょうか?
この制度は、非上場の中小企業を対象に行われている「経営承継円滑化法」
の「相続税・贈与税の納税猶予制度の特例」の個人事業主版となります。
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/index.htm
もちろん個人事業主には、自社株は存在しないので、相続・贈与をする事業用の対象資産に対する部分について全額納税が猶予されます。
-
対象期間
2019年1月1日~2028年12月31日までの間に発生した相続・贈与が
対象になります。
-
認定受遺者
18歳以上。ただし、平成34年3月31日までの贈与は20歳以上に限る。
-
猶予を受ける為の条件
-
被相続人は相続開始前において、相続人は相続開始後において、それぞれ青色申告の承認を受けていなければなら
-
認定経営革新等支援機構の指導・助言を受け「承継計画」作成する事。
-
2019年の1月1日から2024年の3月31日までに、「承継計画」
を都道府県に提出し「中小企業の承継の円滑化に関する法律」に基づく
認定を受ける事。
-
猶予される相続税(贈与税)に見合う担保を提出する事。
-
-
対象となる特定事業資産
-
被相続人の事業に供されていた土地(面積400㎡までに限る)
-
被相続人の事業に供されていた建物(床面積800㎡までに限る)
-
建物以外の減価償却資産(固定資産税又は営業用として自動車税や軽自動車税の課税対象となっているものその他これらに準ずるものに限る)で青色申告書に添付される貸借対照表に計上されているものをいう。
-
猶予税額の免除について
認定相続人が死亡時まで特定事業用資産を保有し、事業を継続した場合等には,
猶予税額の全額を免除となります。また、認定相続人が特定事業用資産に係る事業を廃止した場合等には、猶予税額の全額を納付する必要があります。
*その他にも「全額免除要件」また「一部免除要件」もございますので、詳細は財務省ホームページにてご確認下さい。https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2019/31taikou_02.htm
-
注意事項
-
認定相続人は、相続税の申告期限から3年毎に継続届出書を税務署長に提出する必要があります。
-
この納税猶予の適用を受ける場合には、特定事業用宅地等について小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けることができません。
-
いづれにしても、この制度を活用する為には2024年3月31日までの間に「承継計画」
を作成し、認定を受ける必要性があります。
一度専門家に相談をした上で、制度を活用するかどうかご判断頂く事をお勧めします。